GOKOTI平山遥さんおいしい旅の記憶

#2 ウブドの深緑、滝水、香辛料。こころに効く天然サプリ【前編:沐浴】

これまで国内46都道府県・世界40か国を訪れ、食べて、語らって、その土地の暮らしに触れながら、旅をしてきた平山遥さんのコラム。気軽に出かけられないときでも、いつか行きたい憧れの場所へトリップしているかのような気持ちになれます。連載第2回は、神々が宿る島・バリへ。前編では、自然のエネルギーに満ちたウブドでの沐浴をナビゲートしてくれます。

 

プロローグ〜サイドメニューのつもりが、旅のメインディッシュになった「ウブド」〜

2018年4月下旬、ゴールデンウィーク直前。ネットでたまたま目にとまったのが、イジェン火山のブルーファイアの写真でした。地球の光景とは思えない神秘的な青い光を見てみたいという衝動にかられ、とっさにインドネシア行きの航空チケットを手配。その数日後には日本を発ちました。


▲SF映画の世界を想わせる青い炎。深夜の山頂から望む火口は、危険で美しい光景でした

▲夜明けとともに、エメラルドグリーンの湖と大量の硫黄ガスが姿を見せました


ブルーファイアが見られるイジェン火山はバリ島に比較的近い場所に位置しており、観光都市ジョクジャカルタ発→イジェン火山経由→バリ島解散というバスツアーがほとんど。私たちも同様のルートを選び、バリ島にも立ち寄ることになりました。ですから正直なところ、バリ島は旅の付け合わせくらいに考えていました。

でもせっかくの初上陸。神々が宿る島と呼ばれるバリ島なので、リトリートとパワーチャージを極めるべく、ビーチリゾートではなくあえて世界中のヨギーニが集まる「ウブド」へ。本記事では、手つかずの自然が放つエネルギーを五感全開でいただき、結果的にウブドに魅了された2泊3日の旅レシピをご紹介します。


▲バリ島には湧水池をもつ寺院が数多く点在しています

▲野生猿に出会えるモンキーフォレスト。深い緑が生い茂っています

わたしの純度があがっていく。「無」にみちびかれた沐浴体験

浄化レベルがバリ島で最も高いといわれる「スバトゥの滝」。インドネシアに4年駐在している友人が、この滝での沐浴(ムルカット)を絶賛していました。これまでの旅では、現地情報を素直に聞き入れ直感に従うと良い方向に導いてもらえていたので、今回も迷わず滝行にチャレンジすることにしました。

知るひとぞ知るこの聖なる滝は、森の深いところにひっそりと佇んでいます。ツーリストも沐浴できるとはいえ神聖な領域。沐浴までの道のりは容易ではありません。険しい階段をくだりながら、神社の手水舎に似た場所で頭や手を清めます。滝の側にある寺院の前でもお供え・お祈りをしたのち、ようやく沐浴が許されるわけです。


▲急勾配な長い階段をくだっていくと、途中に清める場所が見えてきます

▲顔を洗ったり、水を口に含んだり。いずれも3回行うのがバリ式のお祈り作法

滝は想像よりこじんまりしていたものの、近づくとごおごおという豪快な音が響くほどの水量。シルクのサロンを腰に巻いて、清浄な泉に歩を進めます。身震いする水の冷たさに耐えながらなんとか腰まで浸かり、いざ勢いのある滝の中へ。


▲自然と一体になって自我を忘れる滝行は、リトリート効果抜群!

息をするのもやっとというくらい強い清流に覆われると、滝の音がからだ全身に伝わってくると同時に、一瞬にして脱力、無の境地にいざなわれ、現実世界から切り離されます。水の勢いで心身の奥底にある疲れ・ストレス・雑念までが流れ出ていく感覚に。滝の世界から現実に戻ってきた時には、かつてない爽快感を味わうことができました。


▲3回にわたる沐浴。1回目は圧倒されたものの、2回目以降は心地よいひととき

▲カラダ中の悪いものが水に流れ出すと、水の色が変わるといわれています

 
こころもカラダもリセットした後は…
ハーブとスパイスたっぷりの料理でパワーチャージ!
バリの料理教室 Ketut's Bali Cooking Classをご紹介する【後編】は、こちら

 

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平山 遥 Hirayama Haruka
カナダ・トロント生まれ、東京育ち。数年前から鎌倉暮らし。リクルートコミュニケーションズで、広告制作ディレクション・WEBマーケティング・サービスデザインの領域に従事。現在はコンサルタントとバイヤーという二足のわらじに奮闘中。週末の海辺散歩、月に1度の国内旅行、年に1回の海外旅行でリトリートするライフスタイルを満喫している。Instagram:@travelife_haruka0530

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