#6 祝上棟!新築工事の手土産・差し入れ事情 

こんにちは、ライターの二木薫です。このブログでは、夫婦ふたりで東京から鎌倉に引っ越し、「この町で理想の家を建てよう」と奮闘する記録を綴っていきます。「鎌倉が好き」「鎌倉に住んでみたい」という人に向けてというだけでなく、理想の暮らしや家づくりについても皆さんと一緒に考えていけたらな、と思っています。

第6回は、『上棟式』を終えて本格的に工事が始まった我が家、上棟で用意した手土産や工事現場への差し入れについてシェアしたいと思います。

 

雨の中、神業的なスピードで上棟

2021年5月下旬、いよいよ家づくりの一大イベントでもある上棟が行われました。上棟とは、家の基礎が完成した後に柱や梁などの木材が組み上げられ、屋根を支える棟木が取り付けられること。木造建築ならではのひとつの節目で、「棟上げ(むねあげ)」「建前(たてまえ)」とも呼ばれています。見逃すのはもったいない体験だと教えてもらったので、上棟の日は絶対に見学しようと心待ちにしていた二木家。

ところが、日本各地で異例の早期梅雨入りとなり、鎌倉も上棟日は豪雨の予報が......。やはり、ただでは済まない我が家のイベント。本来なら15時ごろ完成すると伺っていたのですが、昼にはすでに家が立ち上がっていました。



▲魔法のように組み上がっていく我が家。助っ人の職人さんも総出で、かなりの迫力とスピード


天候不良の上、敷地が狭小道路であるためクレーンは使わず全て手運び。職人さんもさぞ大変だったことでしょう、感謝がつきません。「つい先日まで基礎のコンクリートだけだったのに!」と、立体になった家を見上げては感慨深い気持ちになりました。

 

上棟に向けての準備

上棟後に工事関係者と行われる『上棟式』は、工事に携わる職人さんたちへの感謝を表し、完成に向けての無事を祈るための儀式です。近年は神事というよりも、関係者同士の親睦のために略式で行われる方が多いそう。

『上棟式』では、施主がお礼の気持ちを込めて食事や飲みものをふるまい、手土産を渡す習慣があります。我が家は上棟工事の日と『上棟式』の日にちを別にしたため変則的なやり方となりましたが、ご参考までに下記に記しておきますね。

■上棟日の差し入れ
上棟の工事当日は棟梁のほかに、助っ人の職人さんも5人参加してくれました。差し入れは、お茶・缶コーヒー・炭酸飲料、お菓子を何種類かクーラーボックスに入れて現場にセッティング。お菓子は個包装で食べやすい一口サイズを選び、甘・辛系でバラエティを持たせました。上棟日は大人数が集合してかなりの作業を一気にこなすので、お礼の気持ちを込めつつ、邪魔にならない場所にそっと置いておきました。

■上棟日の手土産(引き出物)
上棟と『上棟式』が別日だったため、職人さんが全員揃う工事当日に手土産をお渡ししました。職人さんの人数を事前に確認して、それぞれに手土産を用意。ちなみに、『上棟式』の手土産は紅白まんじゅう、赤飯、お酒などが一般的だそうです。

何を選ぶか悩みましたが、施主も大好きなカステラに。決め手は、賞味期限が長く親しみやすいお菓子で、事前にカットされていてご自宅でも食べやすいことでした。カステラの細長い形は「末長い」を意味する縁起物でもあるそうです。蝶結びの水引きの外熨斗に、表書きは「御祝」とし、下段には施主の苗字を入れてお渡ししました。



▲お世話になった職人さんが喜んでくれますように。想像しながら手土産を選ぶ時間も、楽しいひとときでした


■『上棟式(略式)』で用意したもの 
上棟後の週末に、略式の『上棟式』を行いました。式のセッティングは、エンケルヒュースさんが準備してくださり大助かり。従来はおもてなしの祝宴を開くのですが、「緊急事態宣言中」でしたので、お弁当などの飲食は残念ながら省略しました。

当日の施主の用意は、棟梁と上棟を手伝ってくれた職人さんたちへのご祝儀です。相場は棟梁が1〜2万円、大工さんが3〜5千円とのことでした。設計、インテリア、施工とお世話になっているエンケルヒュースさんへは、ビール券をお配りしました。


▲えいや! と鏡割り。酒・米・塩を家の東西南北の四隅にまき、家を清める「四方固めの儀」を行い、最後には感謝のあいさつと工事の無事をお祈りしました

 

コミュニケーションを楽しむ、新築工事の差し入れ

上棟が終わってからは約3か月、棟梁がおひとりでコツコツと我が家を作りあげていきます。さて、工事現場を見学する時の差し入れはどうするか。これもまた初めての体験です。エンケルヒュースさんに相談したところ、あくまでも「差し入れはコミュニケーションのひとつ」であって、特に決まりはないそうです。


▲現場を訪れるたび、新しい木の香りに心も弾みます。それぞれの材木に名前が入っていました

 我が家はドリンク類、お菓子類などを少量ずつ差し入れしています。念のため棟梁の好みを伺ってみたところ「好き嫌いありません、ありがとうございます!」とのこと。『鳩サブレー』『クルミッ子』『べつばらドーナツ』をはじめ鎌倉のおいしいものも、ぜひ味わってもらおうと計画中です。


体力勝負のお仕事なので、時には変化球で使い切りタイプの小さな入浴剤などもセレクト。ただ、凝りすぎても恐縮されてしまうので、お互い気軽に感じられる程度の差し入れを選ぶようにしています。

差し入れのタイミングは、工事休憩の前後を意識しています。たいてい12時前後、午後休憩の15時前後に工事現場へ行き、手が離せないような場合は「こちらに置いておきますね」とお声かけだけするように。棟梁がひと段落されている時には、2階に登らせてもらったり進捗を教えてもらったり、我が家について学ぶ機会にもなり、ありがたいコミュニケーションの場になっています。



▲はしごをかけてもらい、初めて登った2階から。一生忘れないであろう景色になりました


波乱は続くよどこまでも......?

さて、今後は壁やフローリング床、電気配線、造作キッチン、パントリーなどが出来上がる予定です。内部工事は着々と進んでいるのですが、なんと外壁に「ウッドショック」の影響が!

コロナ禍のアメリカでは低金利による建築需要が激増し、輸入木材が減少。国産材も高騰・品薄になっているんです。そのため、外壁の杉材の仕入れが遅れるとのこと。思わぬ余波に、建築スケジュールはどうなってしまうのか......?! 施主の白髪を増やしつつ、波乱の新築工事は続くのであります。
(つづく)

これまでの連載はこちら▶海街で家づくり

二木薫 Niki Kaori
東京にてエンタメ企業・メディア系企業に従事した後、2014年鎌倉へ移住。丁寧な暮らしに憧れつつ、片手にはたいてい甘いものかお酒。基本ぐうたらしていたい四十路フリーランスライター。工藝、フード、IT、地方創生...ジャンルに関わらず、なにかを“つくる人”の取材をしています。Instagram:@kaorilittle

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